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2016年8月

2016年8月13日 (土)

文化から現代経済を読みとく

今回読んでみたのは
『いま読んでいる本: 増補版 なぜ今、私たちは未来をこれほど不安に感じるのか?――日本人が知らない本当の世界経済の授業 (松村嘉浩)
http://ebookstore.sony.jp/item/LT000057564000559833』
です。
世界規模経済となって久しいですが、
そのなかで深刻化する、世界規模の格差。
そのような問題の所在を文化的側面から明らかにしているのが本書です。

あえて経済古典には手をつけず、
音楽やマンガなどからなんとなく感じている不安から現代経済の問題点を明らかにしています。

面白かったのですが、解決の糸口を、近世日本に求めているのは同調できませんでした。

例えば、システムを作っている西洋(プロテスタント)国家の利益のために、
中東が『賢者の石』とされているために、貧困から抜け出せないと
書かれています。
一方、近世日本では、一神教ではなかったですが、
米を頂点とする米信仰が強固にありました。
その結果、本来米作りに適さない土地に住む人も米作りに励まなければいけなくなり、結果零落せざるえなかったのです。
また、米作りに適した土地を持っている人は代々裕福で、持たない人は困窮するという身分の固定もなされていました。
無論、これは山農漁村に限った話なのかもしれませんが、当時の8割以上の人口を占めていたのですから、無視できない話だと思います。

次にアートが富としてのツールとなっていることが指摘されていますが、
近世日本に置いても茶道具がそうでした。
文化の保護という側面ももちろんあるでしょう。
しかし、もっとも高価であったのが、明や西洋からの舶来品であったことを考えると、まさしく富としてのアイコンであったと思うのです。

さらに、近世日本が成長していないと指摘されていますが、
もっとも人口があった農民から米を税として徴収し、また米を給料として旗本などに支払っていたことから、米が基軸であったことを考えると、
新田開発がまさしく富の成長を示していたのではないでしょうか。
そのうえで、米の価値が上がっているということはまさしくインフレが起きていて、
幕府も通貨対策に頭を悩ませていたのではないでしょうか。
新井白石と荻原重秀の戦いをみてもわかるように、リフレ政策を取らなかったのは単なる結果論だとおもいます。
結果、幕末はかなり地方は疲弊を起こしており、反乱に繋がっていった…と考えます。

結局、今の不安を取り除くためには、私たちの社会的基盤をもう一度考え直し、新しく理論を構築していかないといけないと思います。

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